メガネ(眼鏡・めがね)のPARIS MIKI

第四回「ロービジョン・ブラインド 川柳コンクール」
優秀賞発表のお知らせ

2022.03.29

2022年3月29日、「第四回ロービジョン・ブラインド 川柳コンクール」の優秀賞を発表いたしました。

このコンクールは、視覚障害に因んだテーマを、視覚障害当事者だけではなく、それぞれの視点で川柳にして社会全体で共感できることを目的としています。応募総数2,954作品のなかから、次の作品が優秀賞に選ばれました。

消毒液声を出してよどこにいる
もぐら圭 様 
見えにくさを感じている方部門 /ブラインド

<作者解説>
コロナ禍でスーパー、病院などを訪問したときに、消毒液がどこにおいてあるかわからず、あたふたしてしまいます。

できぬこと認めて観えるできること
たろう 様 
見えにくさを感じている方部門 /ロービジョン

<作者解説>
視ることはできずとも観ることはできる。これもまたその一つ。視えないことは他者と情報を共有できなかったり、劣等感を感じることも、辛いこともあるけれど、それはもう仕方ない。

曲がり角パン屋の香り鼻印
原久 様  /ブラインド

<作者解説>
パンを焼く良い香りがしてきたらそろそろ曲がり角などと目印ならず鼻印にしています。

増やしましょできないことよりできること
帰ってきた花子 様 /医師

<作者解説>
視覚障害の女子のおしゃべり会、とても前向きな彼女たちのスローガンです。

凸凹を覚えた頃にまた工事
テクノボー 様 /一般の方

<作者解説>
年度末間近、道路の掘り返し工事が盛んです。仮復旧で長期間アスファルトのつなぎ目に段差などが見られ、とても危険に思います。

優秀賞の他に、入選100句を選出しております。詳細はコンクールホームページをご覧ください。
作品を通じて視覚障害者の日頃感じていることや、その取り巻く人々の想いを垣間見ることができます。

今回も粒揃いの作品ばかりで、審査は困難ながらも嬉しく楽しい時間でした。
最優秀賞、部門賞の作品は、作者の生活実感がオリジナルな視点でうまく切り取られていました。ユニークな表現で川柳にまとめられ、これまで誰も詠んでいない新しさもありました。
入選作品も読みごたえがありました。各部門、一句ずつ選評を書かせていただきます。

〇見えにくさを感じている部門
「セルフレジカードエラーは診察券」
私も時々同じような失敗をしています。おそらく誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。

〇メディカル・トレーナー部門
「ドラマ見てついつい目がいく支援機器」
なるほどね。職業病ですねえ。街を歩いていても、きっと同じように観察しておられるのでしょうね。

〇サポーター部門 
「作品の真髄を読む指の先」
文字を読むのではなく、行間を読み、その先にある真髄を掴むのです。奥深さのある作品です。

日頃から、他者の立場に立って考えようと気を付けているつもりでしたが、応募作品を拝見すると、まだまだ配慮が足りなかったことに気付かされます。ロービジョン・ブラインド川柳コンクールの作品を見ていただくことで、一人でも多くの方に、他者への気づきが生まれると嬉しいですね。
今回で四回目となる、ロービジョン・ブラインド川柳コンクール。植物で言えば、種がまかれ小さな芽が出たところでしょうか。継続は力です。これから木になり枝葉を広げて大きくなっていくのがとても楽しみです。

元NHKアナウンサー
NHK「俳句王国」司会10年
元『川柳マガジン』選者
元愛媛新聞月刊誌『アクリート』川柳欄選者
現在
日本農業新聞川柳欄選者
月刊俳句総合誌『俳壇』選者
愛媛CATV『八木健の川柳天国』主宰
愛媛CATV『八木健の俳句遊遊』主宰
滑稽俳句協会会長
俳句美術館館長
浪曲・虎造節保存会創立名誉会長
著書
『八木健の川柳アート』
『俳句 人生でいちばんいい句が詠める本』
『滑稽俳句集』
『平成の滑稽俳句』
『すらすら俳句術』
『教師のための俳句読本』
『海外俳句入門』他

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