第四回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール
優秀作品および入選作品発表

最優秀賞

消毒液
声を出してよ
どこにいる

  • 名前 もぐら圭 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ブラインド)
  • 解説 コロナ禍でスーパー、病院などを訪問したときに、消毒液がどこにおいてあるかわからず、あたふたしてしまいます。
  • 講評 この川柳を拝見してハッとしました。配慮が足りていないことに気が付きました。新型コロナ感染予防のために、今やどんな所でも入口で検温と手の消毒を要求されます。しかし、見えにくさを感じている方への配慮は皆無に近いですね。音声で知らせる家電はたくさんあるのですから、「こちらで消毒をお願いします」としゃべる装置くらいつけてもらいたいものです。普段の当たり前の生活の中で、不便を感じている人の存在が見落とされていることに気付かせてくださった作品です。

NEXT VISION賞

できぬこと
認めて観える
できること

  • 名前 たろう 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ロービジョン)
  • 解説 視ることはできずとも観ることはできる。これもまたその一つ。視えないことは他者と情報を共有できなかったり、劣等感を感じることも、辛いこともあるけれど、それはもう仕方ない。
  • 講評 見えなくなってできなくなったことが新たな出発の気づきとなり、できることが増えます。心にあるストッパーを外すことによって可能性は広がります。ロービジョンになっても生き生きと活躍し、互いに社会を支え合います。NEXT VISIONでは、情報障害をゼロにして全ての人が活躍できる社会を目指して、isee! 運動を展開しています。選考するにあたり、今年もいろんな思いが詰まった川柳を楽しませていただきました。

見えにくさを感じている方部門賞

曲がり角
パン屋の香り
鼻印

  • 名前 原久 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ブラインド)
  • 解説 パンを焼く良い香りがしてきたらそろそろ曲がり角などと目印ならず鼻印にしています。
  • 講評 「目印」に対して「鼻印」とは、とても愉快な発想です。見えにくい方には匂いも重要な判断材料になりますね。音で分かるなら「耳印」、触って分かるなら「皮膚印」でしょうか。街の中に目印は溢れていますが、耳印や鼻印はほとんどありませんね。美味しいウナギ屋さん、コーヒー屋さん、お花屋さんなどは、積極的な印付けをお願いしたいです。

メディカル・トレーナー部門賞

増やしましょ
できないことより
できること

  • 名前 帰ってきた花子 様
  • 部門 メディカル・トレーナー部門(医師)
  • 解説 視覚障害の女子のおしゃべり会、とても前向きな彼女たちのスローガンです。
  • 講評 なるほど、読んだ方が勇気づけられるステキな作品です。誰しも悲観的になると出来ないことを数えがちになりますが、またひとつ、これも出来たあれも出来たと出来たことを喜ぶ方がいいですよね。気持ちが前向きになれる川柳も増やしましょう。「できることも助けてくれる人も増やしましょ」「増やしましょ手伝ってと言える言われる関係を」。

サポーター部門賞

凸凹を
覚えた頃に
また工事

  • 名前 テクノボー 様
  • 部門 サポーター部門(一般の方)
  • 解説 年度末間近、道路の掘り返し工事が盛んです。仮復旧で長期間アスファルトのつなぎ目に段差などが見られ、とても危険に思います。
  • 講評 道路のちょっとしたクセも、安全に歩くためには覚えておかないといけない重要な情報です。しかし、年度末になると道路工事が急増します。予算を消化しないと次年度の予算をつけてもらえないからと聞いたことがあります。やっと覚えて慣れた頃にまた工事とは、なんと意地悪なことでしょう。以前の凸凹も忠実に再現してもらいたいですね。

総評

審査委員長 八木 健

 今回も粒揃いの作品ばかりで、審査は困難ながらも嬉しく楽しい時間でした。最優秀賞、部門賞の作品は、作者の生活実感がオリジナルな視点でうまく切り取られていました。ユニークな表現で川柳にまとめられ、これまで誰も詠んでいない新しさもありました。

 入選作品も読みごたえがありました。各部門、一句ずつ選評を書かせていただきます。

見えにくさを感じている部門
「セルフレジカードエラーは診察券」
私も時々同じような失敗をしています。おそらく誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。

メディカル・トレーナー部門
「ドラマ見てついつい目がいく支援機器」
なるほどね。職業病ですねえ。街を歩いていても、きっと同じように観察しておられるのでしょうね。

サポーター部門
「作品の真髄を読む指の先」
文字を読むのではなく、行間を読み、その先にある真髄を掴むのです。奥深さのある作品です。
日頃から、他者の立場に立って考えようと気を付けているつもりでしたが、応募作品を拝見すると、まだまだ配慮が足りなかったことに気付かされます。ロービジョン・ブラインド川柳コンクールの作品を見ていただくことで、一人でも多くの方に、他者への気づきが生まれると嬉しいですね。

 今回で四回目となる、ロービジョン・ブラインド川柳コンクール。植物で言えば、種がまかれ小さな芽が出たところでしょうか。継続は力です。これから木になり枝葉を広げて大きくなっていくのがとても楽しみです。

八木 健 先生 プロフィール

経歴

  • 元NHKアナウンサー
  • NHK「俳句王国」司会10年
  • 元『川柳マガジン』選者
  • 元愛媛新聞月刊誌『アクリート』川柳欄選者

現在

  • 日本農業新聞川柳欄選者
  • 月刊俳句総合誌『俳壇』選者
  • 愛媛CATV『八木健の川柳天国』主宰
  • 愛媛CATV『八木健の俳句遊遊』主宰
  • 滑稽俳句協会会長
  • 俳句美術館館長
  • 浪曲・虎造節保存会創立名誉会長

著書

  • 『八木健の川柳アート』
  • 『俳句 人生でいちばんいい句が詠める本』
  • 『滑稽俳句集』
  • 『平成の滑稽俳句』
  • 『すらすら俳句術』
  • 『教師のための俳句読本』
  • 『海外俳句入門』他