第八回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール
優秀作品および入選作品発表

第八回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール
優秀作品および入選作品

最優秀賞

プロとして
無駄なく動く
盲導犬

  • 名前 たけやん 様
  • 部門 サポーター部門(一般の方)
  • 解説 盲導犬のプロとしての確かな動き。
  • 講評 盲導犬は訓練された犬だと承知はしていても、その能力には驚く。さまざまな誘惑に見向きもしない姿勢はいつ見ても感動する。もちろん個体差もあれば例外もあるのだろうが、懸命に職務を遂行しようとしている姿は健気である。単なる“賢い犬”ではなく、使命と責任を背負った専門家なのである。無駄のない動きには、訓練の厳しさや洗練された感性を感じさせる。盲導犬への「敬意」が温かい。(八木健)

見えにくさを感じている方部門賞

指先が
震える点字の
ラブレター

  • 名前 いち 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ブラインド)
  • 解説 最近付き合い始めた彼女と文通しています。点字のラブレターは、つくる(書く)ときも、もらうときも、手が震えます。急がず、ゆっくりと愛を育てていきたいです。
  • 講評 ラブレターを書く時も、もらって読む時も「好き」だとか「逢いたい」などの率直な気持ちを表現する文字には震えるだろう。指先の震えは感情の揺れであり高まりである。想いを刻み、触れて、体温で読む愛の言葉である。読者にも心のドキドキが伝わってくる。(八木健)

メディカル・トレーナー部門賞

手をかさず
そばで見守る
出来るまで

  • 名前 わいわい 様
  • 部門 メディカル・トレーナー部門(看護師)
  • 解説 ひとりで出来そうなことはあえて手を貸さず、声かけやアドバイスをしながら側で見守ります。患者さんの「できた」のために。
  • 講評 助けたい気持ちを抑えて、相手を信じる姿勢が伝わってきます。これは簡単なようでとても難しいことです。時間の効率を優先して結果を急ぎたくなるものですが、手伝える距離にいながらあえて手を出さない。「信じる」「待つ」「見守る」の支援の三つのポイントが凝縮された一句です。(八木健)

サポーター部門賞

乗車する
までは私が
ホームドア

  • 名前 中年やまめ 様
  • 部門 サポーター部門(一般の方)
  • 解説 白杖の人に駅ホームは怖いです。
  • 講評 ホームドアは首都圏の駅では見かけますが、まだ十分ではなく、全国の設置率は一割ほどです。見えにくい人の安全のためには、まだまだ人的サポートが不可欠です。設備はまだまだでも、人間のちょっとした気遣いで、一人でも安心安全に電車に乗れる駅にしたいですね。(八木健)

視覚障害リハビリテーション協会賞

青ですよ
可愛い声で
小学生

  • 名前 貫太郎 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ロービジョン)
  • 解説 小学校で障碍者と共に生きると言う授業をされています。私達視覚障碍者がその授業に参加することがあります。そのせいか街中で小学生が声掛けしてくれました。
  • 講評 見えないことで立ち止まる場面に、ためらいなく寄り添う小学生のひと言が、やさしく鮮やかに描かれた一句です。「青ですよ」という短い言葉には、安全を支える実用性と、人を思う温かさが込められています。しかもそれが「可愛い声で」と続くことで、自然な親切が未来へ受け継がれていく希望を感じさせます。幼いころから助け合いが身につくことは、だれもが安心して暮らせる共生社会の礎であり、本協会の願いにも重なる作品です。(視覚障害リハビリテーション協会)

日本眼科医会賞

大丈夫
声で見えてる
あなたの笑顔

  • 名前 あっこ 様
  • 部門 見えにくさを感じている方部門(ロービジョン)
  • 解説 家族から何でわかるんとかよく聞かれますが、声で大体の雰囲気はわかります。
  • 講評 視覚障害者は聴覚を最大限活用して情報収集しています。声を頼りにしており、この声のトーンなどから相手を想像しています。我々晴眼者も視覚障害者に対してただ声をかければよいのではなく、愛情もって接するべきだと思いました。人と人のつながりの大切さを教えられました。(日本眼科医会)

総評

八木健審査委員長

 今回の「ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」では、厚生労働省、文部科学省、視覚障害リハビリテーション協会、公益社団法人日本眼科医会のほか、66団体にご協力いただき、3500句余りのご応募をいただきました。

 主催者であるパリミキの「見えない人、見えにくい人の人的・物的環境を整備し、見える人とのバリアを取り除いて、共生社会を築くための方法をみんなで考えたい」との思いが着実に広がっていると感じます。

 この数年、作品の中で多く詠まれる題材の一つが、「QRコード」「セルフレジ」「タッチパネル」などの電子機器に関するものです。世の中の無人化システムの増加に伴って、視覚優位の機器が増えた事に対する不安、不便、不満の体験が急増しています。今回も、同じくそれらが詠まれてはいましたが、一方で、「スマート白杖」のような、最先端のAIを搭載した機器が、暮らしやすさを後押ししてくれている実態も知りました。これからも、無人化、機械化の流れは進むと思われますが、視覚に不安を抱える方をサポートし、安心を与えてくれるような機器の開発が期待されます。

「ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」は、見えづらさのある当事者の声を可視化し、川柳によって個人と社会をつなぎ、誰にも優しい町づくりを提案してくれる、社会的にもとても大きな役割と意義のあるコンテストであると改めて実感しています。