「子どもたちにとって、メガネをもっと身近な存在にしていきたい」
〜PARIS MIKI Junior担当者インタビュー〜
2021.09.06
小学1年生の約4人に1人,小学6年生では約半数程度が、1.0未満の視力になっているとも言われている現代。その要因は、スマホやタブレットの利用習慣や、睡眠時間の減少などにあるのではないかといわれています。
いまや、子どもがメガネをかけるのは珍しいことではありません。「文字が読みにくくなった」「目が疲れやすくなった」など子どもが違和感を訴えたら、まずは眼科で目のチェックをするのがおすすめです。
2021年4月、パリミキが子ども用メガネの新シリーズとしてリリースした「PARIS MIKI Junior」。8月には、2つのモデルが子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組む優れた製品やサービスなどに贈られる“キッズデザイン賞”を受賞しました。
キッズデザイン賞は、「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための製品・空間・サービスなどの中から優れた作品を選び、広く社会へ発信することを目的としている顕彰制度です。
PARIS MIKI Junior立ち上げの経緯と、子ども用メガネの選び方や扱い方について、商品開発部の川端志保さんに聞きました。
「PARIS MIKI Junior」開発の主担当は、パリミキ入社20年目の川端さんです。川端さんは入社後、店頭販売を5年間経験。その後商品開発部へ移動し、さまざまなメガネ関連商品の開発に携わってきました。現在は、3歳の男の子を育てる母親でもあります。
しかし最近の市場では、子ども向けの商品であっても、トレンド感や多様なデザイン性が求められるようになってきているーー。そこに目を付けた川端さんは、全国の子育て中のママ社員に協力を仰ぎ、オンラインで意見の聞き取りを実施。具体的な課題を洗い出し、既存商品のブラッシュアップに取り掛かりました。
子どもは未就学児から小学生、中学生へと成長するにつれ、背がぐんぐん伸びるように顔周りの大きさもどんどん変わっていきます。その間にサイズの合わないメガネを着用していると、不快感から、メガネを嫌がってしまう可能性も。そこで、PARIS MIKI Juniorでは、モデルで最大3サイズと多様なサイズを展開することになりました。また、大人のように丁寧にメガネを扱えない子どものために、安心安全な素材にはとことんこだわることに。
「小さなお子さんは、びっくりするくらいすごい曲がり方をしたメガネをお直しに持って来られることも多いんです。子どもはメガネをかけたまま動き回ったり、転んだりなど、どうしても乱暴に扱ってしまいますからね。だからこそ、できるだけずれたり、壊れたりしにくい、そして修理がしやすいように、素材や作りにはかなり工夫を凝らしました」
もうひとつの課題、川端さんが物足りなさを感じていたデザイン性についても、とことん検討が重ねられました。
「社内で意見を募ったところ、特に女の子は小学校に上がる頃には『もっとオシャレを楽しみたい』といった理想を持ち始めることがわかりました。親が想像する以上に、感性やセンスが大人っぽくなっているんですよね。また、男の子は本格的にスポーツを始めたり、ゲームに夢中になったりする時期でもあります。それぞれの要望にできるだけ応えられるように、できる限り幅広いテイストのデザインを採用することにしました」
現在販売中のPARIS MIKI Juniorでは、トレンドを重視したものからスポーティなもの、大人っぽいものからポップなものまで、幅広く15モデルを展開。子どもたちが自分の好みに合わせて、楽しくセレクトできるように考え尽くされています。また、大人用メガネと同じトレンドを採用することで、親子お揃いの「リンクコーデ」を楽しめるようなアイデアも取り入れています。
また、「子どもがメガネをかける」ことにネガティブな感情を持っているのは、当人だけではありません。ときに親の側も、「私のせいで目が悪くなった」「子どもにメガネを掛けさせたら、ますます目が悪くなってしまうかもしれない」といった不安を抱えていると言います。
「『メガネを掛けることによって視力が落ちる』ということはありません。ただ、親御さんも不安なんだろうな、と。リンクコーデのように、ファッションとして楽しんでいただくための工夫だけではなく、子どものメガネの安全性や快適性をしっかりと理解していただけるような冊子の発行などの取り組みも検討しています。子どものメガネをもっともっと身近に感じてもらいたいですね」
いざ子どもがメガネを掛けることになったとき、初心者の親子にとっては、メガネ選びや取り扱いに対して戸惑いを感じるケースも少なくありません。どんなことに注意すればいいのでしょうか。
また、メガネをする使用頻度によって選び方を変えてもいいのでは、と川端さんは提案します。
「使用頻度があまり多くない、または、まだメガネ自体に馴染みのないお子さんには、できるだけ『自分が気に入ったデザイン』を選ばせてあげることが大事だと思います。もちろん機能性も大事なのですが、まずはメガネを好きになることを優先していただきたいからです。逆に、日常的に長く使用するお子さんの場合は、デザインももちろんですが、軽量タイプなど、できるだけつけ心地を重視していただくと長時間でもストレスなく着用していただけるのではないでしょうか」
メガネの取り扱いに関しては、「お友達と貸し借りをしない」「レンズ面を下に向けて置かない」「使わないときはケースに入れて保管する」といった点を習慣づけてもらえれば、と川端さん。ただ、いくら丁寧に取り扱うように教えても、子どもにとっては至難の技だとも言います。
「子どもは常に動き回っているため、適切に扱っているつもりでも、メガネには必ずダメージが加わってしまいます。パッと見ただけじゃわからなくても、メンテナンスにお持ちいただくと、ツルが曲がっていたり、レンズが傾いていたりするケースがよくあるんですよ。お子さんが常にメガネの位置を直していたり、なんとなく掛けることを嫌がるようになったりしたら、不具合が出ているサインと考えてもいいでしょう」
それでも気付きにくい不具合は必ず出てくるもの。それを避けるためにも、定期的なメンテナンスが重要です。
「パリミキとしては、3ヶ月くらいの間隔をおいて、定期的に点検にお持ちいただくことを推奨しています。親御さんの中には、細かいことでわざわざ見てもらうのは気が引けるとおっしゃる方も少なくありませんが、遠慮は無用なので。少しでも快適に、少しでも長くお子さんにメガネを愛用していただけるよう、ぜひ気軽に店舗へお越しいただければと思います」
できる限りメガネのことを好きになってもらい、ときには相棒のように寄り添える相手として長く付き合っていってほしい。子どもたちに向けた川端さんたち担当者の願いとともに、PARIS MIKI Juniorのアップデートはこれからも続いていきます。
(取材:文=波多野友子/編集=ノオト)
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