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第4回ロービジョン・ブラインド川柳コンクールが募集開始!

2021.12.06

「ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」が今年も募集をスタートしました。「ロービジョン」とは、何らかの原因によってメガネ等で矯正しても十分な視力が出ずに、目が見えにくい状態にあること。そして「ブラインド」とは、目が見えていない状態のことを指します。

ロービジョン、およびブラインドの当事者、そしてそれを支える医師や看護師、家族や友人が日頃から感じている思いをしたためた川柳を募集する同コンクールは、2017年に開始され、今年で5回目の開催となります。今回から協力団体が40団体に増え、公益社団法人 日本眼科医会にもご後援いただくことになりました。

そんなロービジョン・ブラインド川柳コンクールをより多くの方に知っていただくため、企画に携わる2名の社員がこれまでの経緯と第5回の概要についてお伝えします。

<プロフィール>
写真左:中村成美(なかむら・なるみ)2002年入社。店舗勤務を経て本社にてiPad運営管理に携わる。現在はDX企画部に所属。同コンクールのサイトの企画と運営に携わる。

写真右:神田信(かんだ・しん)1988年入社。長年、店舗開発に従事。現在は営業本部に所属。同コンクールの企画全般に携わる。

神田「この川柳コンクールは、2017年に開業した神戸アイセンター病院内に設立されたビジョンパーク(※1)の開設に合わせたイベントとしてスタートしました。パリミキがコンクールを主催し、ビジョンパークを運営する公益社団法人NextVisionにご後援いただき、川柳を通じて視覚障がいの啓発と視覚障がい者を取り囲む人の相互理解を深める取り組みになればと、社内で有志を集い企画を進めてきました。おかげさまで、これまでに6,000件を超える川柳が集まり、今年で第4回を迎えることができました。

実は私自身もロービジョン(網膜色素変性症)の当事者なのですが、同じ視覚障がいの方や、協力していただく団体や個人の方々から『川柳に共感したり励まされたり、毎年楽しみにしているんですよ』といった声もいただいています」

※1神戸アイセンターは世界で初めてiPS細胞を実用化した再生医療の研究施設。最先端の眼科医療施設、リハビリ・社会復帰支援施設を併設する。その中のビジョンパークは、 眼科を訪れる患者さんやその家族、見えない・見えにくいことでお困りの方、一般市民の方、企業の方、医療、福祉、教育など様々な専門分野の方が集うことを目的としたホール

中村「私は現在DX企画部に所属し、ウェブサイトの運用や店舗で使用する機器のうち主にiPadの管理や運用に関わる業務を担当しています。私の父に視覚障がいがあったことと、産休中に視覚障がい者の方が視覚サポート用のアクセシビリティ機能を駆使してタブレット端末を扱っていることに感銘を受け、産休が明けたら通常業務だけでなく、パリミキならではの観点から視覚障がい者の方に役立つような仕事や取り組みをしてみたいと考えるようになっていました。

そんな中、たまたま参加した視覚障がい者が集まる患者会で神田さんとお会いし、川柳コンクールの存在を知りました。視覚障がいがある方でも応募しやすいサイトの制作、運用をお手伝いしています。見やすい背景の色やフォントの大きさ、音声ソフトで変換したときの聞きやすさなどを特に意識しています」

神田「同コンクールでは、3つの部門を設けています。ロービジョン・ブラインドの当事者の方からお送りいただく『見えにくさを感じている方部門』、医師や看護師など当事者と関わる機会が多い『メディカル・トレーナー部門』、そして当事者のご家族や友人、視覚障がいに関する商品開発に携わる方や一般の方からご応募いただく『サポーター部門』です。

一番多くいただくのは『見えにくさを感じている方部門』なのですが、昨年はサポーター部門に1349句の応募がありました。当事者の方だけでなく、一般の方からの応募が増えてきたことはとても嬉しいことです。

川柳の選考は元NHKアナウンサーの八木健先生にお願いしていますが、『いい句が多すぎて絞りきれない』と嬉しい総評もいただいています。今後はコンクールサイトで公開している入選作品以外にも公表できる場を作っていきたいと考えています」

中村「ご応募いただいたロービジョン当事者の方から『今まで自分の気持ちを表現する場がなかったので、すごく嬉しかった』と感謝のメールが届いたことがありました。少しずつ見えなくなってくる自分の状況に悩み苦しんでいたけれど、川柳をきっかけに自分の状況を前向きに捉えることができたとのことで、同コンクールを開催できて良かったと感じました。

ネガティブな句が集まると想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはなく、思わずクスッと笑ってしまうような明るくユニークな句も届きます。読んでいるだけでも心が温まる作品が多数寄せられていますよ」

応募作品からは、「最優秀賞」「各部門賞」「NEXT VISION賞」が選ばれます。また、今年から新たに「日本眼科医会賞」も選出されることになりました。

これまでの最優秀賞をご紹介します。

▼ 最優秀賞

第1回(2017年):死ぬまでに 妻とやりたい 二ラメッコ/山本進さん 作者解説:死ぬまでに見えたらいいな妻の顔。死ぬまでにもしもこの眼に光が戻ったら、妻ともう一度ニラメッコをやりたいな。ニラメッコしましょ。もしも光が戻ったら。

第2回(2018年):ありがたや 券売機のない ラーメン屋/ナ月さん 作者解説:電車なら初乗りの切符買って向うで清算するって手もあるけど、食券じゃそうもいかない。座って普通に注文できるお店は助かりますねぇ。

第3回(2020年):心の目 開くと見える 別世界/大阪のアンさん 作者解説:加齢とともに、心の目で見ることが多くなりました。これだけ長生きすると、あれもこれも心にクリアな映像として残っています。目の前が霞んでいても、心の映像が鮮明な画像を再現してくれます。

第4回(2021年):消毒液 声を出してよ どこにいる /もぐら圭さん 作者解説:コロナ禍でスーパー、病院などを訪問したときに、消毒液がどこにおいてあるかわからず、あたふたしてしまいます。

この4つを読んだだけでも多くの「気づき」を得られるのではないでしょうか。私たちの生活の中で当たり前に見えているコトやモノについて新しい視点をもらえるような気がします。

さらに、神田さんに印象に残っている句を選んでいただきました。

神田「正直、素晴らしい句がたくさんある中で、選ぶのは非常にむずかしいです(笑)。当事者の心をうまく表現している句、視覚リハビリテーションの様子を5・7・5に落とし込んでいる句など、川柳を見て勉強になる句もたくさんあります。今回は、日本眼科医会様から後援をしていただけることになりましたので、恐縮ながら、前回寄せられた作品からお医者様の作品を2句とロービジョン部門からも2句を選ばせていただきました」

▼ 神田さんが選んだ句

・ホントかな? 見えにくいのは仕方がない? 作者解説:歳だから見えにいのは仕方ない……という人がいますが、違います!きちんと治療した上でたとえ見えにくさが残ったとしても、ロービジョンケアで生活の質を上げることもできます。まずは眼科に相談を。

・医師の腕 難治の疾患 だからこそ 作者解説:現代医療は標準化しており、腕の差はなくなりつつあります。一方で、現代医療では治せない疾患こそ、治せませんで終わりにするのか、全人的医療が提供できるのか医師の腕が試されるところと痛感しています。

・諦める 勇気と挑む 勇気持つ 作者解説:目がどんどん悪くなっていく途中で、車の運転などあきらめなくてはいけないことがある。勇気をもってあきらめた後は、今度は何にでも挑戦する勇気を持って生きて行こうと思う気持ちを詠みました。

・久しぶり おしゃべり終わって 誰だっけ 作者解説:道路にて声掛けられ、嬉しくおしゃべり終わって別れ、名前分からず、誰だったろう?

中村「私も母になって、視覚障がいのある父親から『孫の顔が見たかったな』と言われたことがありました。そんな私の心情とリンクした2句と、ユニークな着眼点で思わず笑みが溢れた2句を選んでみました」

▼ 中村さんが選んだ句

・究極の エコだと笑う 闇の風呂 解説:里帰りした娘が笑うんだ。「お父さん電気つけないで入ってるの。これがほんとのエコキュートって言うのかなあ」だって。

・空き椅子と 信じて掛ける 客の膝 解説:電車の中で失礼なことをしてしまいました。このことがあり、立っていることが多くなりました。

・子の顔を 一目見たいと 盲の母 解説:全盲の若い母親と話すと、決まって出る言葉。聞いてる方もほんとにつらい。返事のしようがないんです。

・「父親似」と いわれたあこの 頬撫でる 解説:やはりわが子の顔は見てみたいのが親の願いです。他人には見えている我が子のことを「お父さんそっくりですよ」といわれて、思わずその子の頬を撫でてみたことがあります。

神田「自分が視覚障がいになってわかったのですが、最初は障がいがあることを周囲の人に伝えることが不安でした。人と違う自分を公表するのは、とても勇気がいることですよね。でも、今は同じように感じている方にこの川柳コンクールを知っていただき、その不安を少し和らげてもらえれば……そう思っています。

例えば、白杖をなるべく持ちたくないと考えている人は多いのですが、川柳の中にも『白状を持ってよかった、今では手放せない』という句もたくさん寄せられています。そういった白状のメリットを川柳から知っていただけるのも、コンクールの価値になるのではないかと思います」

中村「社内でも少しずつ同コンクールが広まっている実感はありますが、本音を言えばもっともっと盛り上げたいです(笑)。まだまだ自分ごとにしにくい事柄ですが、丁寧に伝えれば身近に感じてもらえます。社内でもサポートの輪も広がっているので、一歩ずつ工夫しながら取り組んでいきたいですね。

もちろん応募された作品を読んでこの世界を知っていただけるだけでも嬉しいですが、今回この記事がきっかけで初めてロービジョン・ブラインドの世界を知ったという方には、自分が視覚障がいになったらこんな世界になるのでは? とイメージしながら句を詠んでもらえたら。自分の作った句と、当事者の方との句を読み比べしながら、共感できるところやギャップを感じてもらえるはずですよ」

事務局より
「新型コロナ感染拡大により行動に規制がかかり始めた第3回(2020年)からは、コロナに関する句が多数届きました。コロナ自体に対する気持ち、接触が難しくなった中で思うことや人の温かさ、頼りの音が少なくなった社会、オンラインでの新しい試みの数々など、部門に関係なくたくさんの方が思いを川柳にのせてくださったと感じます。アニメ『鬼滅の刃』の流行で、サポーター部門では『全集中』がひしめいていました。

また、東京2020パラリンピックが延期されたことで、翌年の第4回(2021年)にかけてパラリンピックの話題もちらほら。日本テレビドラマ『恋です! ヤンキー君と白杖ガール』でロービジョンの世界が多くの方に伝わるきっかけとなり、ドラマをテーマにした川柳がいくつも届いてその影響力にも驚きました。今年は、どんなテーマにスポットが当たるのか、楽しみです」

第5回ロービジョン・ブラインド川柳コンクールは、現在作品を募集しています。募集要項をご確認の上、ご応募ください。一般の方からの応募ももちろんOK! 未発表作品であれば、5作品まで投稿可能です。あなたらしいオリジナリティあふれる川柳をお待ちしております。

● 第5回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール 募集要項

募集部門 ・見えにくさを感じている方部門 ・メディカル・トレーナー部門 ・サポーター部門

応募点数に制限はありません。ただし、1回の応募は5作品(未発表作品に限る)までとさせていただきます。優秀作品の発表は、2023年3月末に特設サイトにて公開予定。

締め切り 2023年1月31日(月)

投稿先 以下のリンクよりご応募ください。

https://www.paris-miki.co.jp/lv-senryu/

 ※記載されている内容は掲載当時のものです。現状と内容等が異なる場合がございますのであらかじめご了承ください。

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