メガネ(眼鏡・めがね)のPARIS MIKI

第六回「ロービジョン・ブラインド 川柳コンクール」
優秀賞発表のお知らせ

2024.03.29

2024年3月29 日(金)、「第六回ロービジョン・ブラインド 川柳コンクール」の優秀賞を発表いたしました。

このコンクールは、視覚障害に因んだテーマを、視覚障害当事者だけではなく、
それぞれの視点で川柳にして社会全体で共感できることを目的としています。
応募総数 3,561 作品のなかから、次の作品が優秀賞に選ばれました。

店員と世間話で声見知り
宮城翔 様
(見えにくさを感じている方部門)ブラインド


<作者解説>
私は買い物をする時、援助依頼をします。同じ店を訪れるたびに、お互いが名前
を覚え、声見知りになります。こうして視覚障害者が、買い物しやすい社会にな
っていってほしいと思います。

見えずとも君の嘘ならお見通し
さくらもち 様
ロービジョン

<作者解説>
小学生の息子が、小言を言われないよう叱られないようにと、あれこれごまかそ
うとしていますが、大体これは嘘だなと、声色や口ぶりから母のカンが働きます。

白内障術後林檎が美しい
千流 様
医師

<作者解説>
私の受けた手術の実感です。

無意識が点字ブロック塞いでる
ふみあと70代 様
一般の方

<作者解説>
自分は死ぬまで健常者だと思ってる人が多すぎるのではないか?

こっちだよその一言が思いやり
お話大好き 様
(サポーター部門)職場の方

<作者解説>
職場での移動や通勤の際に、目的とする方向に一言声掛けするだけでも、とて
も助かるとの声を頂きました。その一言の大切さを川柳にしました。

白杖が視野に入らぬスマホ族
リンゴ酢 様
(見えにくさを感じている方部門 ) ロービジョン

<作者解説>
ながらスマホで歩いている人には、白杖を見てもらえないことが多いのが、いつも気がかりです。

優秀賞の他に、入選100句を選出しております。詳細はコンクールホームページをご覧ください。
作品を通じて視覚障害者の日頃感じていることや、その取り巻く人々の想いを垣間見ることができます。

 今年度は、ご協力くださる団体様が 40以上となり、多くの素晴らしい作品が集まりました。
 さらに、 これまで最優秀賞は、ほとんどが60代以上の方ばかりでしたが、今回は、10代の方が初めて受賞されました。回を重ねる毎に10代の方からの応募も増える傾向にはあります。しかし、全体の中ではまだまだ少ない中で、今回の受賞はとても大きな意義があると思います。
 今回の応募作品を拝見して、多くの方が川柳に詠まれていた言葉に気付きました。「QRコード」「人工知能」「アプリ」などの電子機器に関連する言葉です。中でも「セルフレジ」「タ ッチパネル」は、昨年に続いて特に多く詠まれていました。いずれも視覚優位の機能のため、使い辛さを嘆いておられました。
 その他にも不便や困ったことを率直に書いてくださった作品として、「問い合わせ窓口」の電話対応が激減したことを詠まれたものがありました。確かにこの数年で、多くの企業やメーカーが、問い合わせの窓口から電話を廃止し、メールやチャットに切り替えていますね。このメールやチャットの使い辛さは、見えにくさが無い方でも、多くの方が痛感しているところです。
 また、音の出る信号機が夜8 時以降翌朝 7 時半頃まで鳴らないことがほとんどだということや、文字の書体によって見えやすさが違うことなども、応募作品や作者のコメントによって知りまし た。歩きながらスマホを見ている人や、点字ブロックの妨害も、まだまだ多いのだということも分かりました。
 入選作品のみならず、応募作品の一つ一つに学ぶことのなんと多いことでしょう。様々な事を教わり気付く機会を得て、このコンテストの選者をさせていただいて良かったと今回もつくづく思いました。そして、誰もが安心安全に暮らせる社会について、皆で考えていければと思います。

元NHKアナウンサー
NHK「俳句王国」司会10年
元『川柳マガジン』選者
元愛媛新聞月刊誌『アクリート』川柳欄選者
現在
日本農業新聞川柳欄選者
月刊俳句総合誌『俳壇』選者
愛媛CATV『八木健の川柳天国』主宰
愛媛CATV『八木健の俳句遊遊』主宰
滑稽俳句協会会長
俳句美術館館長
浪曲・虎造節保存会創立名誉会長
著書
『八木健の川柳アート』
『俳句 人生でいちばんいい句が詠める本』
『滑稽俳句集』
『平成の滑稽俳句』
『すらすら俳句術』
『教師のための俳句読本』
『海外俳句入門』他

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